2014年12月25日木曜日

再現音感と聞き音感の違いを理解する。

「再現音感」と「聞き音感」の違いを理解して下さい。

→ 絶対音感、相対音感は不要。(参考)
→ 相対音感と再現音感はちがうのか。(参考)

誰でも歌の上手、下手が分かります。
これは人間が生まれたときから持っている能力です。太古の人間から現代に至るまでの進化の過程で「聞き音感=心地よい音とリズムの分類」という機能を得たのです。










歌の上手、下手に関係なく誰でも、他人の歌の上手、下手が区別できます。
これって不思議だと思いませんか。
※ポルタメントとかシンコペーションなどの細かいミスは感知しにくいですが。

上手、下手は歌いだしからしばらくは(といっても2小節くらい)感知できません。
そのうち、あーこの人上手だな、下手だなと思い始めます。

歌は絵画と違って、上手下手を認識するのに時間が必要です。時間芸術といっていいでしょう。

1.不協和音への反応
不協和音って分かりますか。
和音はピアノで「ドミソ」を同時に打鍵すると協和音として聞こえます。ドミソ和音はCコードと言いますね。根音「ド」を基準に真ん中の音「ミ」を半音下げた場合以外の他音との組み合わせが不協和音です。音がぶつかるなんて表現をします。
ピアノで不協和音だけを「バーン」とならすと、全員が不快に感じます。
協和音は同様に全員が美しい!と感じます。
和音をアルペジオと言って単音を連続で「ポロロロン」と弾いた場合でも同様に感じます。
これは人間の脳がもともと持っている生理現象なのです。経験も訓練も関係ありません。
音楽家、非音楽家共通です。乳児でも分かります。

2.規則性の期待への裏切り
先ほど歌は時間芸術だ、と言いましたが、音楽はテンポの規則性で成り立っています。
どんなに美しい音程の繰り返しでもテンポが乱れると「ガクッ」となりますよね。
これは時間的な規則性への期待を裏切られるためです。

と前置きしておいて

「ではこれからアカペラで新作の歌を発表します。聞いてください。」

新作ですから誰も旋律も歌詞も知りません。
知らない曲のアカペラを聞かされて下手だなと感じるのは

1.旋律の前音と後音間の音程のずれ
2.各音に達するまでの時間の規則性の乱れ

の2つです。

1.の理由
先ほどのピアノの和音のアルペジオの速度を落としていきます。すごく遅くなっても
違和感は残ります。アカペラは和音とは違い単音の連続ですが、アルペジオと同じく人間の脳は1つ前の音を常に覚えているため、次の連続する音への違和感を感じるのです。
これは不協和音を聞かされたときと同じ反応を脳が起こしているためです。

2.の理由
書くまでもないですが、テンポの規則性への裏切りです。
作曲は完璧だという前提であれば、楽譜通りの各音の長さに従っていないということです。
楽曲に同じフレーズの繰り返しを入れて作られることが多いのは、規則性への期待に応えるためです。そのほうが気持ちがよいのです。

誰もが知っている歌をアカペラで披露する場合はさらに悲惨な結果が待っています。
誰もが歌のイメージを頭の中に持っていますので上記1.2.の反応がすぐ起こります。
さらに歌手の歌い方のイメージへの期待を裏切られ、酷評されてしまいます。

カラオケは上手、下手の判断を鈍らせます。
理由はバックバンドの音がたくさん混じるからです。
カラオケとの不協和音が原因だ、と説明しているサイトがありますがカラオケを聞いている
側にとっては歌っている人に注意がいきますのでバンドと不協和音が起こっているななどと
感じることはありません。

歌う側、聞く側両方になって読んでください。

聞けるのに何故歌えないのか。
上記1.2.を逆説的に考えてください。
歌唱には再現性そのための専用の音感が必要だということを理解して下さい。

ではその専用の音感とは何か?

①楽曲を脳内再生した時に「本当に聞いている」のと同じように気持ちよくなれる「音感」
②その脳内再生を声にだして再現する「音感」
の2つです。これを総称して私は「再現音感」と言っています。

自分で歌を再現する事と、歌を聞いて不快、快感と感じる事とは
脳の使う部位が全く違うのです。

歌唱するためには
歌唱の専用音感=「再現音感」を獲得しなければなりません。
  
ここが重要です。

多くのカラオケ教育の最大の欠点と思うのは
「聞くための音感(相対音感)」と「歌うための音感=再現音感」
をごちゃまぜにしていることです。

「歌を自分の声で再現するための音感」という能力は、経験、訓練なしでは得られません。

それが、本ブログの第一段階~第四段階の訓練なのです。


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